第2回 総合研究会 開催報告
常勤研究員 田村宗英
去る平成27年10月5日(月)、第2回総合研究会を開催しました。智山伝法院で掲げる総合研究テーマ「教学を再考する」に関連し、今回は、智山伝法院嘱託研究員の川﨑一洋師から「事相と教相のつながりを考える」と題してご講義いただきました。
初めに川﨑師は、本来は不可分である はずの事相と教相が現在では分離しているのではないかとの問題提起をされた。そして、まず事相と教相が意味することは何かを探るため、宗祖弘法大師の著作や松長有慶先生が挙げる密教の特色から、象徴主義・儀礼主義・神秘主義の三つを例示された。そのうち、象徴については、事相として我々が相承していくものであり、その象徴を読み解くために教相があるのだと述べられた。真言宗の行では本尊をどのように観想するかが大きな鍵となるため、曼荼羅における三部(仏・蓮・金)の構成や三密(身・口・意)との関連性について説明。さらに時代変遷の中でどのように曼荼羅が形成されていったのか、また、曼荼羅の色に着目しながらチベットやインドの曼荼羅にまで遡り、経典や豊富な図を用いながら丁寧に解説された。 最後に、事相と教相をつなぐためには菩提心が重要であるとし、修行の中で自身の徳を高めていくならば自ずと事相教相が一体化してくるのではないかと述べ、講義を閉じられた。